1. そもそも「LLM(大規模言語モデル)」が必要か?
最初の決断は、AIを使うべきか、それとも既存のプログラムで十分か、という点です。LLMは強力ですが、計算コストが高く、時に「間違い」を犯します。
2. 「単発のAI」か、自律的な「AIエージェント」か?
LLMの使用が決まった後の次のステップは、それを「単一の指示(ワークフロー)」で動かすか、「自律的なエージェント」として動かすかの選択です。
AIエージェントは、目標に対して自ら検索し、計算し、ツールを使い分けますが、そこには3つのトレードオフが存在します。
コストの増大: エージェントは内部で何度もAIを呼び出すため、単発の呼び出しに比べ数倍以上のコストがかかることもあります。
遅延(レイテンシ): 思考ステップが増える分、回答までの待ち時間が長くなります。
エラーの連鎖: 最初の小さな推論ミスが、最終的な結果に大きな歪みをもたらすリスクがあります。
【エージェント採用の判断基準】
タスクの複雑性: 「地域Aの人口を調べる(単純)」ではなく、「〇〇が将来の市場に与える影響を数値分析する(複雑)」といった、手順を事前に固定できないタスクにはエージェントが必要です。
タスクの価値: LLMの単発利用の数倍のコストを払ってでも、その業務を自動化・高度化する価値があるかどうか。
ミスの許容度: 命に関わる判断や、エラーの検知が極めて困難な専門領域では、慎重な検討が必要です。
実践的な評価指標:GAIA(汎用AIアシスタント)ベンチマーク
MetaやHuggingFaceが公開した「GAIA」という指標は、まさに「人間には簡単だが、AIには難しい」現実的な多段階タスクを評価するものです。
自社でエージェントを開発・導入する際は、こうした客観的な指標を参考に、「観察→分析→改善」のサイクルを回せているかを確認してください。魔法のような解決策を求めるのではなく、着実な改善プロセスを組織に組み込むことこそが、AI時代の経営戦略となります。