最近、多くのウェブサイトで見かける「オンラインチャット」ウィジェットは、見た目は対人チャットのようだが、実際は情報収集を目的としたフォームであるケースが増加している。実際には段階的に情報を取得するだけのシステムであり、エンドユーザーとの直接的な対話はない。これをチャットと呼んでよいのだろうか。
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最近、多くのウェブサイトで見かける「オンラインチャット」ウィジェット。
見た目は対人チャットや生成AIチャットのようだが、実際は情報収集を目的としたフォームであるケースが増えている。
これは、実際には段階的に情報を取得するだけのシステムであり、エンドユーザーとの直接的な対話はない。
このようなシステムをオンラインチャットと称していることで、期待した対人サポートが得られないことで、ユーザーの期待値との不一致を起こすサイトが増えてきているように思えるのは私だけでしょうか。
これは実際に、とあるウェブサイトでサービス詳細を閲覧中、それに付随する疑問を解消したく、チャットボタンで問い合わせを行ったときのものです。
緑色のオンラインマークがついた顔写真入りの担当者がチャットに表示されました。
早速具体的な質問をしようと思いましたが「どんなことを知りたいですか?」と聞かれたので、選択式回答の中から”製品について知りたい”と回答しました。
すると、続けて従業員数を聞かれました。
なるほど、企業の規模によって適切な提案が異なるため、こちらの規模に合わせて、具体的で正確な話を聞けそうです!
そして従業員数を選択すると...
あれ?なぜか次にEメール入力を求められました。
ネットワーク切断などにより、会話が途切れた際に続けてやりとりするためものかなと思い、入力しました。
しかし...
「チームのメンバーから連絡します」と返信があり、あれ?今オンラインのあなたはいったい誰?となってしまいます。
専門のカスタマーサポートがチェックインしてくる可能性もあるかと15分待機しましたが、なにもおこらず、その後は返信すらありませんでした。
おそらく後日メールで連絡がくるのかもしれませんが、私は今、目の前に表示されている情報を見ながら、思考の解像度が高いうちにやり取りがしたかった。
後日連絡がきても、他の類似サービスのサイトでは担当者とやり取りができたため、こちらのサービスはおそらく後回しになってしまいます。
企業がこのようなチャットのようなフォームを使用する主な理由としては、以下のようなものが挙げられます:
これらの理由は、省人化や自動化の観点からすれば、企業にとって明確なメリットがあります。特に、大規模なサイトでは、全てのチャット問い合わせに対して有人でリアルタイム対応することは、現実的に不可能な場合も多いため、こうした自動化ツールの導入は合理的とも言えます。
ユーザーが「チャット」ボタンをクリックしたとき、彼らはリアルタイムでの対話やサポートを期待しています。偽装チャットフォームはこの期待を裏切り、ユーザーに「騙された」という感覚を与える可能性があります。
短期的にはリードを増やすことができるかもしれませんが、長期的にはブランドの信頼性が損なわれるリスクがあります。ユーザーは一度騙されたと感じると、再度その企業に対して信頼を寄せることが難しくなるでしょう。
偽装チャットはユーザーにとってフラストレーションの原因となることが多いです。情報を入力させられた後で、実際には人的なサポートが提供されないことに気付いた時、ユーザーは不満を感じ、サイトから離脱することも考えられます。
チャットが実際にはボットである場合、あるいは段階的なフォームである場合は、そのことを明示する。
LINEやMessengerなどのアプリでオフラインチャットを活用する。
条件に応じて有人サポートに切り替えれるようにする。
ユーザーが必要な情報やサポートに迅速にアクセスできるような設計にする。
ユーザーとの誠実なコミュニケーションを通じて、デジタル上でも如何にして信頼関係を構築するのか、この探求はビヨンドウェブのミッションの一つです。