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解決する課題 の記事

「文章文化」がAI時代の教育の鍵。パワポ禁止、アマゾン社6ページ文章文化

25/05/27 09:35

#教育 #AI #人材育成 #文章 #動画 #社内教育 #子供

「文章文化」がAI時代の教育の鍵。パワポ禁止、アマゾン社6ページ文章文化

家庭では「子供にスマホ・ネットを使わせてもいいのか?」「AIの利用は子供の思考力・創造性の低下」につながらないか。また企業や教育機関では「AIの活用をどのように捉えればよいのか」「情報リテラシーの低さにどのように対応すればよいのか」等、昨今の技術革新で教育にまつわる悩みはつきません。 この記事ではそのような悩みを深ぼります。これらの解決策は意外にも「文章」に帰結します。とくに、最先端テクノロジー企業であるアマゾン創業者CEOであるジェフ・ベゾスのPowerPointスライド禁止の事例は参考に値します。是非、ご一読ください。

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あなたは人間が書いた文章かAIが書いた文章かを見抜けるか?

「これはAIが書いたんじゃないの?」
最近そんなセリフを耳にすることが増えてきました。私たちが普段読んでいるニュース記事やネットの口コミ、エッセイや小説の冒頭さえ、実はAIによって書かれているかもしれません。では、あなたは文章を読んでそれが人間の手によるものか、AIによるものかを見分けることができるでしょうか?

実験1:この文章はAI、それとも人間によるもの?

A.
朝日が差し込む教室で、少年は古びたノートを開いた。そこには、誰にも見せたことのない夢の設計図が描かれていた。
B.
朝日が教室に入り、少年はノートを開きました。そこには彼の夢のアイディアが書かれていました。

どちらが人間、どちらがAIでしょう?
実はこの程度の1分の文章では、どちらもAIが書けますし、人間も似たような文を書きます。つまり、見抜くのは意外と難しいのです。ところが、文章が「長文」になると人間とAIとの違いが顕著にあらわれ始めます。以下の文章で実験してみましょう。

実験2:この文章はAI、それとも人間によるもの?
共通のテーマ「子ども時代に見た空」でChatGPT(AI)と人間に書かせた文章です。

A.
子ども時代、私は夕暮れ時の空を見るのが好きだった。空は毎日異なる色合いに染まり、橙、紫、青が折り重なって幻想的な景色を生み出していた。その時間帯になると、街のざわめきが少しずつ静まり返り、空気はひんやりと冷たくなる。雲の輪郭は夕日によって照らされ、まるで絵画のように美しかった。私はその空を見上げるたびに、宇宙の広さや、人生の不思議さに思いを馳せていた。空は私にとって、日常を超えた世界とつながるための窓のような存在だった。
B.
小学生の頃、夕方になるとマンションの駐車場の端っこに座り込んでぼんやり空を見ていた。誰にも言わなかったけど、その頃ちょっとだけ家に帰りたくなかった。空は青いはずなのに、なんだかぼやけて?くすんで見えていた、「あ、今日も家に帰りたくないな」って思ったりしてた。眼の前の電柱や電線に止まっている鳩の集団をみて、「なんで皆同じ方向を向いてるんだろう」ってわけもなく石を投げつけたくなっていた。あのとき見ていた空、今でもはっきり覚えている。でも今は全く違って見えているんだ。

皆さんはどちらが人間だとおもいましたか?
もしかしたら、答えは人それぞれなのかもしれませんが、実験1よりは「こちらはAIでしょ?」って思えたのではないでしょうか。

AIも大量の人間の文章を学んでいるため、人間らしさを真似るのがどんどん上手くなっていますが、AIの書く文章には人間と違う多くの特徴があります。(特徴を詳しく知りたい方はAIに「AIと人間の書く文章の違いは?」って聞いてみて(笑))

さて、わざわざこのような問いをたてましたが、あなたがAIの書いた文章を見抜けるかどうかはそれほど重要ではありません(ごめん)ここで本当に大切なのは、「AIか人かを見抜けること」ではなく、文章の中身を正しく読み取り、問い直す力を持つことです。

AIに文章を書かせたとき、もっとも顕著に現れる特徴の一つに「求められたことに対する無難な対応」があります。
ここであなたも自分の専門分野の少し難しいテーマで3000文字程度文章を書くようにChatGPTに求めてみてください。

いかがでしたか?
確かに情報はある程度、もしくはかなり”正確”かもしれませんが、AIは求められたテーマに対して「情報をそれっぽく並べる」ので、冒頭と結論がやや機械的に対応するだけで、途中の展開が単調だったり、“無難に話が収束”していたりしませんか?AIはすでに我々より広範囲で高度な知識を保有しているとおもわれますが、実際にこのように”無難な対応をする”癖があります。

何事にも無難な人は価値が無くなる

「文章文化」がAI時代の教育の鍵。パワポ禁止、アマゾン社6ページ文章文化

何事にも無難な対応をしている人は、これから急速に価値を失っていきます。
理由は明確で、そのような”無難”な対応はAIに置き換えられてしまうからです。これは技術職・一般職・総合職に関わらず「何事にも無難な対応ができるだけの人」はこれから淘汰されていくと思います。この記事執筆時点の2025年ではまだ、AIが出力するのは文章・画像・映像がほとんどです。そのため、無難でも「行動」自体にはまだ価値が伴っていますが、これから先、AIエージェントやAIロボットが爆誕していく未来、その「行動」すらAIに置き換えられていくことが予測されます。

先日、衝撃的なニュースが飛び込んできました。
過去20年間で一番稼げると言われてきた職業の一つ”プログラマー”という職業が死んでいくという内容です。事実としてマイクロソフト社で直近に発表された大規模リストラの中身の半分近くがプログラマー・エンジニアだったのです。大規模言語モデルの発達により、大規模なリストラが起きるというダジャレ現象が進行しています。

これまではマイクロソフトのようなテック企業で大規模リストラが発表されてもその大部分をプログラマーが占めるということはありませんでした。いったい花形プログラマー職に何が起きているのでしょうか。

これはプログラマーという仕事の多くが”高度な知識を要するが、無難な設計をする、無難なコードを書く”というところに価値が存在しており、その価値はもはやAIで安価に代替できてしまうからに他なりません。ですから、すべての”プログラマー”という職業が死んでいくというわけではなく、”無難なプログラマー”の価値がほぼ失われていくと考えるのが正しい理解だと思います。

ときどき「無難」を「優しさ」と捉えている人がいますが、これは「優しさ」ではなく、「弱さ」です。
本当の「優しさ」とは、正しく問いを立てられる「強さ」だと私は考えます。

AI時代に人間が行うべきことは

  • これは本当に正しい情報か?正しいとすれば誰にとって正しいのか?
  • これは自分にとって意味がある文章か?
  • この書き方たはだれの心に届くだろうか?

こうした問を立てながら情報に接することが、AI時代に求められる能力なのです。先程のプログラマーの例ならば、これは本当に正しい設計か?どのようなアプリケーションにとって正しいのか?これはソフトウェアの目的にとって意味のあるコードか?クライアントや設計者の意図は何だろうか?という問を立てながら高度なプログラミングができるプログラマーの価値はますます高まっていくはずです。

それはわかった、ではどうやってその能力をみにつけるのか

これこそが、職場、家庭、教育現場で大切な「問い」になってきますし、実際にそのような議論はSNSでも活発です。この問にはテック界の王者とも言えるAmazon社の創業者CEO ジェフ・ベゾス流プレゼン文化が非常に参考になるので、まず、こちらを紹介します。

アマゾン社における6ページ文章文化

「文章文化」がAI時代の教育の鍵。パワポ禁止、アマゾン社6ページ文章文化

パワーポイント禁止と「6ページ文章」の導入

ジェフ・ベゾスは2004年に社内にメールを送り、重役チーム(Sチーム)に対して今後はパワーポイントなどのスライド資料を使わないよう指示しました。代わりに「構造化された物語的な文書(通常6ページ)」(原文では"6 page memo, Narratively structured memo"と表現されている)を作成し、それを使ってプレゼンを行うことを義務化し、その文化を定着させました。ベゾスはこの方針について「よく構成されたナラティブ(構造的)なテキストこそ求めるものであり、単なる箇条書きの羅列では意味がない」と述べています。(参考動画:ベゾス本人のインタビュー動画  直接リンク:パワーポイント禁止に言及する部分

動画では途中でトピックが変わってしまう部分もあるのですが、4ページのメモを書くのは20ページのパワポを作るより難しいが、「文章による物語構成は考えを深化させ、何が重要か、どう関連しているかをよりよく理解することを強制する」とベゾスは多くの場所で説明しています。一方でパワーポイントは「アイデアをうやむやにし、項目の重要度の差を平坦化し、アイデア同士の関連性を無視してしまう」弊害があると指摘。(ソース:世界で一番裕福な男がアマゾンで行った最も賢明なこと

会議での進め方(沈黙の読書タイム):

アマゾンの会議では冒頭に沈黙の読書時間が設けられます。
提案者が事前に用意した6ページ程度のメモ資料を参加者全員がその場で読み込み、約15~30分をかけて内容を把握するのです。

ベゾス曰く、こうすることで「まるで自習室(study hall)のような」環境になり、全員がメモを確実に読み込んでから議論を始められるといいます。これは「役員は非常に人の話を遮りたがる生き物だ」というベゾスの考えに基づくもので、沈黙の読書によってまず熟考する時間を保障し、全員が同じ土台(情報)に立った上で質疑討論に入れるようにする狙いがあります。この方法なら多忙な幹部たちもその場で確実に資料に目を通すため、「高校生じゃあるまいし読まずに来たのに読んだふりをして会議に臨む」ような事態を防げるとも述べています。

実際ベゾスは「放っておけば幹部だって高校生と同じで読んでこないからね」とユーモラスに語っています。メモを読み終えた後は提案者が質疑応答を受け、内容について徹底的に議論します。このような「まず読み込み、それから議論」という独特な会議文化に、外部から来た新任幹部は最初こそ戸惑うものの、ベゾスは着任時に「ここはたぶん君が経験する中で一番風変わりな会議文化だよ」と事前に警告するそうです。

メモ作成のクオリティとベゾスの要求水準:

ベゾスは毎年の株主宛書簡でもアマゾンの文化について言及していますが、2017年の書簡ではメモの出来不出来に触れ、「そのクオリティは玉石混淆だ。素晴らしいメモは『天使の歌声のように明瞭』で、会議を高品質の議論へと導く。しかし酷い出来のものも時にはある」と述べています。ベゾスによれば、優れたメモは一朝一夕では書けません。往々にして執筆者が水準を満たせないのは能力不足ではなく、「高水準の6ページ文書を1〜2日で書けると勘違いしている」ことに原因があると指摘します。実際には質の高いメモ作成には「1週間以上」はかかるものであり、「素晴らしいメモは書いては書き直し、同僚にもレビューしてもらい、数日寝かせてからまた練り直す」というプロセスが必要だと強調しています。ベゾスはこうした「文書を書くための十分なスコープ(時間と労力)の確保」が高品質なアウトプットには不可欠だと社内に教えているのです。また、「伝統的にアマゾンではメモに作者名は記載しない。チーム全体からの文書だという考えによる」ことも紹介されており、組織として練り上げた内容を重視する文化がうかがえます。(公式ソース

エピソード:

実際、ある重役は最初この手法に驚いたものの、「最初の30分間は全員が静かに6ページのメモを読み込む」というスタイルがすぐに理解できたと証言しています(会議中に皆が黙々と資料を読んでいる光景は一見奇妙ですが、その後のディスカッションの質が飛躍的に高まると言います)。さらにアマゾンでは、製品開発においても「文章でアイデアを練る」文化が貫かれています。その代表例が「プレスリリース&FAQ(よくある質問)」を最初に書く「Working Backwards(ワーキング・バックワーズ)」方式です。新規プロジェクトを始める前に、あたかも製品が完成し発売されるかのようなプレスリリース文書とFAQを作成し、顧客目線で価値を検証するのがアマゾン流です。幹部からは「それで何が『すごい点』なのか?」(So what?)と必ず突っ込まれるため、リリース文書で現行より圧倒的に優れた顧客体験を示せないアイデアは却下されます。このプレスリリース文書も何度も改稿が重ねられ、「少なくとも10稿以上は書き直すことも珍しくない」のだそうです。こうした数々の社内エピソードや仕組みからも、ベゾス率いるアマゾンが徹底した「文章による思考」と「書いて伝える文化」を重視していることが具体的にうかがえます。

教育・職場における対話型AI(ChatGPTなど)の活用とリスク

OpenAI社のChatGPTをはじめとする大規模言語モデル(LLM)搭載の対話型AIが2022年末に公開されて以来、教育界ではその影響に関する議論が活発化しています。ChatGPTはユーザーの質問や要求に対し、人間と対話するように文章を生成できるAIチャットボットであり、複雑な質問への回答や文章・詩の作成までこなせます。この革新的な技術は、小学生を含む学習者の学び方に革命を起こす可能性がある一方で、カンニング(不正)や誤情報などへの懸念も生んでいます。

私もAIは教育にとって必要不可欠なツールになる一方で、リスクにどのように対応できるかがAI活用の成否の分水嶺になってくると考えています。
ここでアマゾン・ベゾス氏の「6ページの文章文化」が必要不可欠だと思うのです。

「答え」より「学び」に価値を置く

AI時代には「答えそのものよりも、そこに至るまでの学び」に価値を置くことが重要になってきます。
教育現場ならChatGPTが出力した内容を「そのまま提出」ではなく、「なぜその答えが正しいと思うのか」「どこが納得できないのか」といった評価・考察の文章を生徒自身が書く、「6ページの構造化された文章」レポート課題を出す(AIに答えを聞いたとしても、自分の学びを500字で書け」など)。こうすることで、AIを使ったかどうかではなく、「自分の頭でどう深めたか」に評価の重きを置く教育が可能になります。

小学校などでの具体的な応用:

AIの出力文を「読む時間」と「チェックする時間」を設けて、内容を鵜呑みにせず批判的に読む訓練をする。
例えば:ChatGPTの回答に対して「本当に正しいと思うか?」「信頼できる?」「足りない視点は?」などの問いを児童に投げかける。これにより、AIの出力と人間の思考を分けて扱えるリテラシー(≒ベゾスのようなメモ批評能力)を育てられます。

子供のスマホ動画中毒 —「受け身」から「表現」へ

「文章文化」がAI時代の教育の鍵。パワポ禁止、アマゾン社6ページ文章文化

少し休憩時間として、子供の動画中毒問題について話してみたいと思います。
スマホで動画に夢中になっている子供を見ると、多くの大人は不安になります。確かに、長時間スクロールし続けるだけの視聴は、思考や身体の動きを止めてしまい、子供の発達に悪影響を与えることもあります。しかし、ここで大切なのは「動画=悪」ではなく、「受け身のまま動画を見ること」が問題であるという視点です。

動画を「見る」だけから「つくる」へ

子供が動画に夢中なら、そのエネルギーを「発信する側」に向けてみましょう。
YouTubeやTikTokをただ見て笑っているだけの子でも、「じゃあ、自分でも1本つくってみたら?」と促すことで、消費者から表現者へ、一歩踏み出すきっかけが生まれます。
これは単なる遊びではありません。動画をつくるという行動には、

  • テーマを考える(構想力)
  • 台本を書く(文章力・構成力)
  • 撮影・編集する(表現力・技術)
  • 公開して反応を受け止める(社会性・共感力)

といった、実に多様なスキルと試行錯誤が必要になります。
つまり、動画制作は総合的な学びの場になるのです。

台本を書くことは「考える力」を育てる

「じゃあ動画撮ろう!」と言っても、だいたいうまく進みません。
そのときに生まれる問いが、「なにを話せばいいの?」です。ここで初めて、「台本」という“文章を書く行為”が必要になります。つまり、動画を通して、自然に考える → 書く → 試す →見直すというプロセスが立ち上がってくるのです。これは、まさにベゾスの6ページ文化と重なる部分でもあります。

  • 「何を伝えたいのか」
  • 「そのために、どんな順番で話すか」
  • 「どうすれば相手に伝わるか」

こうした問いに向き合うことは、ただ“バズる”ことを目指すのではなく、「伝えること」の本質に近づいていくことでもあります。さらに、動画を公開することで、子供たちは「誰かに見られる」という緊張感と責任を持つようになります。
これは、ベゾスの会議に6ページ文書を提出する構造と似ています。「見られる」ことを前提に書く・話す・編集する。それは、自己表現を他者に届けるという、極めて人間的な行為です。このような環境に恵まれている子供達を私は本当に羨ましく思うのです。

※注意:一度ネット上にアップされた動画は、誰かが保存・再共有してしまえば完全な削除は困難な場合があります。必ず大人の確認を受けてから公開するようにしましょう。とくに顔・名前・学校名・制服・自宅の外観など、個人を特定できる情報が含まれていないかを事前にチェックすることが大切です。動画を発信することは素晴らしい学びの機会になりますが、安全に発信する力=デジタルリテラシーも同時に身につけていく必要があります。投稿前にひと呼吸おいて、「これはネットに出しても本当に大丈夫?」と自分にも問いかける習慣をつけることが、未来の自分を守る第一歩になります。

自ら構成し何度も書き直す文化

ベゾスが「良い6ページ文書は1週間かけて練るもの」と言うように、考えを構成し、書き直し、熟成させることに重きを置いています。これは、AIが提示する“最短距離の答え”とは真逆の、じっくり思考して言葉にする力を育てる文化です。

教育での具体的な応用:

生徒にAIと会話したあとに、自分の言葉で再構成して提出。複数改善し、バージョン管理をする作文活動をする。とくにバーション管理の概念は効果的で、ソフトウェア業界では常識となっているように、開発中のコードは「初期案 → 修正 →フィードバック → 改善」というサイクルの中で、変更履歴を残しながら段階的に品質を高めていくのが基本です。この考え方は、教育における文章指導や創造的な学習プロセスにもそのまま応用できます。

なぜバージョン管理はAI時代においてさらに大切か?

AI(例:ChatGPT)は一発で「整った文章」や「答えらしきもの」を出すことができます。そのため、多くの人や子供達にとっては「AIが出した文章をコピペしておしまい」となりやすく、途中の思考や表現の試行錯誤を飛ばしてしまうリスクがあります。

しかし、人が学ぶ過程とは本来“書き直し”や“迷い”の中にこそあるものです。だからこそ、あえて「バージョン1」「バージョン2」…と履歴を残しながら成長を見える形にすることが、人間的な学びの軌跡としてとても意味を持ちます。AIが文章を“完成”してしまう時代だからこそ、私たちは「未完成であること」「変化していくこと」に価値を見出すべきです。ベゾスの6ページ文化がそうであったように、文章や思考は、一度で完成するものではなく、何度も書き直しながら磨かれていくものです。そしてその変化の軌跡を残すこと――それこそが、AI時代の教育における”新しい学びの本質”なのではないでしょうか。

まずはテーマとガイドライン

私も含め、多くの人にとって文章を書くというということは簡単なことではありません。
まず、第一に「めんどくさい」のです。しかしながら「世の中の大事なことは大抵めんどくさい」のです。この”めんどくさいこと”を促進するためには適切な「フィードバック」が欠かせません。

しかし、この適切な「フィードバック」を行うには、非常に大きな労力が求められます。
たとえば職場で部下に、家庭で子供に、「今週の学びを6ページ文章で提出しなさい」といったとしても、求めているものとまったく乖離したものが提出された場合、どうしても建設的なフィードバックは難しくなります。

では、なぜフィードバックがそんなにも難しいのでしょうか?その理由の一つは、「評価の基準が曖昧であること」です。書き手は「とにかく書いてみた」、読み手は「何か違う気がする」と感じながらも、何がどう違うのかを言語化することができない。このギャップが、お互いにとってフラストレーションの源になります。さらに、「文章の良し悪し」は一義的な正解がないため、フィードバックする側も「これは正しい」と自信を持って言いづらくなります。これが、職場や家庭でよくある「もうちょっと頑張って」「なんとなく違う」という抽象的なコメントの正体です。

この構造的な問題を乗り越えるには、事前に「テーマ」と「ガイドライン」を明確にすることが必要不可欠です。たとえば、ただ「学びを6ページで書け」と言うのではなく、

  1. 【テーマ】今週、自分が最も驚いたこと・気づいたこと
    【ガイドライン】以下の点を含めなさい
    ・何が起きたか(事実)
  2. ・それにどう反応したか(感情・行動)
  3. ・なぜ自分はそう感じたのか(背景、価値観、経験)
  4. ・その出来事は自分にとってどんな意味があったか(解釈)
  5. ・それを踏まえて次はどうするか(行動の予告)

というように構成の道筋を示しておくだけで、書き手の負担も減り、読み手も具体的にフィードバックしやすくなるのです。

ガイドライン設計のポイント

効果的なフィードバックを成立させるためには、まず文章の目的と構造を明示することが不可欠です。
先ほどの例のように、6ページの各パートに具体的な問いや視点を設定しておくことで、書く側は「どこから手をつければいいのか」が明確になりますし、読む側も「何を読めばいいのか」「何が足りないのか」に気づきやすくなります。

このように「どのページで何を書くか」をあらかじめ共有することで、書き手と読み手の間の“期待値の非対称性”を解消できます。つまり、「なぜズレた行動になったのか」「なぜフィードバックが難しいのか」といった問題の多くは、実は事前の設計段階に原因があるのです。

特に、小学生〜大人まで幅広く活用できるポイントは、「具体的に書く」よりも「考えを深める問いに応える」よう誘導する設計です。そうすれば、単なる事実の列挙ではなく、思考の筋道が文脈として見えてきます。

とはいっても、このフィードバックを続けるのはは大変... めんどくさそう... 

はい、正直に言って私もそう思いますし、実際にフィードバックを継続していくことは、かなり大変です。
もし、自分の子供だけが相手なら、時間を割いてこのフィードバックループを根気強くやっていこうと思えますが、職場で同じ熱量を発揮できるか?と言われれば、「.......」です(笑)

フィードバックはAIがサポートできる時代へ

「文章文化」がAI時代の教育の鍵。パワポ禁止、アマゾン社6ページ文章文化

どれだけ構造を明示しても、読み手側の負担が大きいのは事実です。文章をひとつひとつ読んで、適切なコメントをするには時間とエネルギーが必要です。そこで活躍するのがAIによるフィードバック支援です。
テーマとガイドラインが適切に設定されていれば、AIは構造的な観点からのレビューが可能です。つまりAIは、フィードバック時の“視点”を補完する存在として活躍できるのです。もちろん、最終的な評価や共感、文脈の読み取りは人間にしかできませんが、その前段階をAIが支えることで、フィードバックをより建設的でスケーラブルなものにすることができます

文章を書くことは、やはり“めんどくさい”のです。しかし、それはめんどくさいからこそ価値がある行為でもあります。そして、誰かが読んでくれて、考えてくれて、返してくれるからこそ、「書いてよかった」と思えるのです。「書く → 読まれる → フィードバック → もう一度書く」この循環を文化として育てるには、適切なガイドラインと持続可能なフィードバック体制が必要です。そのためにこそ、ベゾスの6ページ文化が示唆する構造的で再帰的な書き直しの設計、そしてそれを支えるAIの補助的な関与は、現代の教育や組織にとって極めて有効な枠組みとなるのではないでしょうか。

行動は仮説、現実反応が検証

「文章文化」がAI時代の教育の鍵。パワポ禁止、アマゾン社6ページ文章文化

これが最後に言いたいことになりますが、結局のところ、どれだけ考えても、どれだけ文章を練っても、人は、世界は、行動しなければ変わりません。言葉は頭の中で回るだけでは力を持たず、それを行動に移した瞬間に初めて、現実に影響を与え始めるのです。本当に価値のあるフィードバックは行動を起こした人にしか与えられません。

AIが文章を整え、知識はあふれているこの時代に、本当に価値のあることとは何か?
行動は考えの結果ではありません。行動は仮説であり、現実の反応が検証であり、その検証結果こそが、自分だけの学びであり、次の判断を形づくる羅針盤となる。

思考だけでは辿り着けない真実が、行動の先にはあります。「仮設」と「検証」このサイクルを生きる人こそが、AI時代においても、変わらず「人として伝える力」を持ち続けられるのだと思います。

組織で取組む

ここからは企業向けコンテンツになります。
仮説と検証を繰り返すプロセスは、思っている以上に時間と労力がかかります。
個人で試行錯誤することが重要なのはもちろん、これを組織として体系的に取り組むことができれば、再現性のある知見が蓄積され、より大きな成果へとつながります。

行動 → 現実からのフィードバック → 学び → 次の行動。
このサイクルを組織内で共有・加速させることで、「経験知」が「組織知」へと昇華され、競争力の源泉となります。

では、なぜ「組織での仮説検証」が難しいのか?

  1. 1. 行動のハードルが高い
    ・組織では、個人と違い「失敗」や「リスク」を過剰に恐れる傾向があります。
    ・新しい仮説に基づく行動は、“前例がない”というだけで却下されやすくなります。
  2. ・現場はすでに多忙であり、新しい取り組みは「負担増」と捉えられやすい。
  3. ・「前にもやったが意味がなかった」「どうせ途中でやめるんでしょ」という過去の失敗体験が蓄積している。

    2. 検証のサイクルが遅い
    ・承認プロセスや部門間の連携が必要なため、仮説をすぐに試すことが難しく、スピード感を失います。
    ・検証結果が出るまでに時間がかかり、熱量が失われてしまうこともあります。

    3. フィードバックが正しく行われない・伝わらない
  4. ・行動したのに結果のフィードバックが返ってこない、あるいは無視される。
    ・フィードバックが現場に届かない/共有されない/活かされない。
    ・成果や失敗が属人的に終わり、組織として学びに変わらない。

    4. 評価制度が挑戦と矛盾する
    ・多くの組織では「ミスをしないこと」が評価されるため、「仮説を立てて試す」という姿勢が評価されにくい。
    ・成功しない限り評価されず、挑戦が消極的になる。
  5. ・仮説検証の結果が成果指標に反映されず、やった人だけ損をする構図。

    5. 仮説を言語化・共有できる文化がない
    ・良い仮説を持っていても、それを他者に伝えられずに終わる。
    ・「自分で抱えてしまう文化」が根強いと、組織知にならず属人化する。

  6. etc .........

できない理由を考えるとき、われわれは非常にクリエイティブになります(笑)ほぼ無限に「やらない理由」「やれない理由」は様々な切り口から創造可能です。

新しいチャレンジは、やってみないとわからない。でも、やってみることすら難しいので、組織というのは難しい。

ツール活用もヒントの一つです。複雑な取り組みにはAsanaのようなプロジェクトマネジメントツールが必要でしょう。または、ビヨンドウェブのような組織のチャレンジを支援するAIツールを導入することで、取り組みを定着させやすくすることができます。

組織で新しい取り組みを定着させるにはいくつか必要不可欠な要素が3つあります。それは

  1. 1. 合意形成
  2. 2. ガイドライン
    3. フィードバック
  3. 4. 計測と評価

執筆中....


Admin
真屋 明典
ビヨンドウェブ開発者(TensorFlow認定開発者)
国内外で16期連続黒字企業経営 
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